太陽エネルギーお役立ちコラム
太陽光発電のPPA事業のメリットデメリット。最大の導入効果を得るために押さえておきたいポイント
太陽光発電システムを投資なしで導入できるPPAモデルが今注目を集めています。実際に導入する際のメリット、デメリットを設備を購入した場合や再エネ電力購入と比較しながら解説していきます。契約前に、ぜひご確認ください。
◆PPA事業とは・・・<こちらの記事>をご参照ください。
<PPAの仕組み>
PPA(太陽光発電の第三者所有モデル)のメリット
太陽光発電システムPPA導入にはさまざまなメリットがあります。コスト面はもちろん、維持管理の手間や、環境価値など、それぞれのメリットについて解説します。
メリット1. 初期投資がかからない
PPAモデルで太陽光発電システムを導入する場合、最大のメリットは設備費用が不要となることです。予算化が必要ないため、意思決定も少なく済みますし、借入のための金融機関との調整なども不要です。資産として計上する必要もないため、償却費用や、固定資産税など、その後にかかる費用も不要です。
メリット2. 維持管理にかかるコスト、手間が不要
PPAモデルでは、PPA事業者(太陽光発電システム所有者)が施設利用者に電力を販売することで設備投資を回収します。発電できないリスクはPPA事業者にありますので維持管理については当然PPA事業者が責任を持つ必要があります。設備の点検や、発電量のチェック、修繕や交換が必要な際にはその費用もPPA事業者が持ちますので、PPA電力を使用する施設利用者は、維持管理の負担なく太陽光発電システムから生まれた電力を使用できます。
メリット3. 再生可能エネルギー電力を安価に利用可能
オンサイトのPPAモデルでは、屋根上で発電した電力をそのままダイレクトに使用できます。外部から調達する場合には発電設備以外に電力設備(電線網)の使用料金がかかりますが、直接施設内での供給が可能なPPAでは電力設備の使用料金は発生しません。必要なコストが安くなる分、クリーンな電力をより安価に使用する手段としてPPAの導入は有効です。
メリット4. 施設のCO2削減に寄与できる
PPAで発電され、施設で使用した電力は、その変換過程でCO2を生み出さない電力です。この「CO2を排出しない権利」は電力の利用者に寄与しますので、施設の環境対策として活用、主張することが可能です。
PPA(太陽光発電の第三者所有モデル)のデメリット
PPAモデルの導入は上記の通り、多くのメリットがありますが、いくつか気をつける点があります。施設の状況によっては、別の導入手段を検討する必要があるかもしれません。
デメリット1. 長期契約が必要となる
PPAモデルでは、PPA事業者が投資費用を回収するまでに長い期間がかかるため、十数年から二十五年程度の長期契約となることがほとんどです。施設の利用状況の変化によって電力使用量が減少した場合についての違約条項などが設定される場合もあります。契約書の雛形などを事前に入手し、電力使用量の変化や、中途解約についての条項を確認し、設置予定の施設の利用状況がどう推移するのか、予測を行う必要があります。
デメリット2. 太陽光発電設備購入と比較して、金銭的なメリットが少ない
PPAモデルでの導入では、設備費用、維持管理費用がかからない代わりに、毎月の太陽光発電電力の利用料金が発生します。この電力単価は高圧契約の場合「系統電力より高く」「再エネ電力より安い」金額設定となる場合がほとんどです。再生可能エネルギーを外部より調達することと比較するとコストメリットがありますが、電気代はトントンか、若干高くなるため、金銭的なメリットはあまり多くありません。設備購入の場合、環境省の補助金活用などで、電気代節減効果で7年程度の投資回収を見込めることから、どちらの導入がより施設に向くのかを選択する必要があります。
デメリット3. 施設の構造によっては補強工事など追加の費用が必要
オンサイトPPAモデルでの導入では、施設の屋根上で発電を行うことが前提となります。施設の強度が不足する場合には、施設の補強工事を行う必要があります。また、屋根によっては、PPA事業者が想定している設置方法が取れない場合があります。これらの追加工事負担をPPA事業者が行うのか、施設利用者側が行うのかを事前に取り決める必要がでてきます。また、その費用はいずれにしても最終的に施設利用者が負担することとなるため、慎重な検討が必要となります。
PPA(太陽光発電の第三者所有モデル)の導入がおすすめな施設
上記のメリット、デメリット踏まえて考えると、以下に該当する場合には、PPAでの太陽光発電導入がおすすめになると考えられます。
◉ 長期利用を想定している施設(新築など)
◉ 初期投資が準備できない、しにくい場合
◉ 維持管理、撤去など設置後の作業を行いたくない場合
◉ 安く再エネ電力を導入したい場合
PPA(太陽光発電の第三者所有モデル)の導入は避けたい施設
以下に該当する場合には、PPA以外の手段での太陽光発電導入をご検討したほうが良い結果が得られると思われます。
△ 電力利用者(テナント)の契約期間が短期間の施設
△ 償却をとりたいなど、資産価値が必要な場合
△ 長期的な金銭的メリット享受したい場合
△ 強度的な不足が予測される施設
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投稿者プロフィール
西原弘樹代表取締役社長
サンジュニア入社以来、太陽熱エネルギー利用の技術者としてJIS規格の作成や、国内排出削減量認定制度の方法論の原案作成、太陽熱計測専用の計量器の開発などに従事してきました。2016年より代表取締役を務めています。